体にはさまざまな働きをする栄養素があります。その中でも特に大切な栄養素が「鉄」です。
鉄の働きは生命維持のためにとても大切なものです。地球上に鉄が存在していなければ人間は存在しません。それくらい人間とって鉄は欠かせない栄養と言えます。
鉄は人間の体の中に3gから4g存在しています。主に赤血球の中のヘモグロビンを作るために必要な栄養素です。鉄の大きな役目は、赤血球を作ること。
赤血球は取り込んだ酸素を体の隅々の細胞までデリバリー(配達)します。
鉄が足りないと赤血球が少なくなり、末端の細胞まで酸素を届けることができず新陳代謝が悪くなります。
また、赤血球が足りなくなると鉄欠乏症貧血を起こします。
鉄が足りたいと貧血を起こすのは有名ですが、それ以外に大切な要素があります。
・鉄は皮膚、粘膜、免疫、コラーゲンに必要
・神経伝達物質が作れずうつ病になりやすい
・疲れやすくだるさが抜けない
これらについて説明していきます。
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鉄は皮膚、粘膜、免疫、コラーゲンを作る
鉄が必要なもの赤血球だけではありません。
皮膚、粘膜、免疫、コラーゲン等を作るのにも鉄は必要なものです。
皮膚と粘膜。細胞分裂するときに必要なミネラルは鉄と亜鉛です。
人間の皮膚や粘膜は1日、2日で新しいものに入れ替わります。常に新しい皮膚や粘膜が下から上へと出てくるのです。
しかし鉄不足になると細胞分裂ができなくなります。そうなるとどうなるか?
皮膚や粘膜が弱くなり、何日も入れ替わらないと外界から皮膚を守ることができなくなります。
その結果、肌荒れ、粘膜の病気(口内炎、デリケートゾーンの荒れやかぶれ)などが起こります。
免疫は、外からばい菌が侵入するのを阻止します。白血球がばい菌を取り込み、活性酸素を使って倒します。その活性酸素には鉄が必要です。鉄が少ないと傷の治りが悪くなります。
コラーゲンは血管を作ってくれる大事な要素。コラーゲンの剛性には鉄が必要です。
剛性がないと血管が弱くなり少しの圧で血管が破れてしまい、内出血しやすくなります。
上記のように人間の体はいかに「鉄」によって守られているのか分かったのではないでしょうか。
鉄不足でおこなう症状はこれだけではありません。もっと大切な症状があります。
神経伝達物質が作れずうつ病になりやすい
人間の感情や精神面、記憶、睡眠などに影響を与える三大神経伝達物質というものがあります。
それがセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンです。
それぞれ説明すると、セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心に安定と安らぎをもたらしてくれる神経伝達物質です。
そしてドーパミンは、意欲や集中力、記憶、物事への関心など、ノルアドレナリンは人間の意欲の源、生存本能をつかさどります。
セロトニンが「静」だとすると、ドーパミンとノルアドレナリンは「動」の働きになります。
この3つの神経伝達物質を作る際にも、鉄は必要です。
セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑え、精神のバランスを整える効果があります。
このセロトニンの働きが弱くなると、疲れやすくなったり、やる気が怒らなくなったり、怒りっぽくなったりと感情が不安定になります。
ドーパミンやノルアドレナリンがないと集中力がなくなり、記憶低下、やる気、物事への関心の低下などの原因になります。
活発に動けなくなるわけです。
では、どの部分で鉄が使われているか下の図で解説します。
神経伝達物質はいずれもタンパク質から作られます。それがアミノ酸に変化し、様々な神経伝達物質を生まれます。
ノルアドレナリンを作る過程でLフェニルアラニンからLチロシン、Lドーパを作る際に鉄を使います。
セロトニンを作る過程においても、Lトリプトファンから5-HTPを作る際に鉄が使われます。

鉄が不足することによって、神経伝達物質をうまく生成することができずに感情のコントロールややる気、意欲、などが失われていきます。
その結果、うつ病発症の原因にもなるのです。
もちろん、鉄だけではなく、葉酸、ナイアシン、ビタミン群、銅などの他の栄養素も必要ですが、鉄はそれ以上に必要な要素になります。
疲れやすくだるさが抜けない
鉄不足になると1日中だるさが抜けません。
朝から気分的に不調になり、夕方以降は体がとにかく動かせない。
典型的なうつ病だと、朝は起きれませんが、夕方からなら良くなる場合が多い。
鉄不足の場合は、1日中調子が悪くなります。
体の隅々まで酸素が行き渡らないと、筋肉の収縮力が落ちてきます。筋肉を正常に動かせないのです。
腕や足の筋肉もそう。少し動かしただけでも疲労が蓄積してきます。
これが神経伝達物質と相まって気分的にも、肉体的にも不調になります。
うつ病の患者に多い症状です。
鉄を効率よく摂取するには
鉄は日常の食事だけでは十分に取ることができません。
鉄を食べ物でとるには、レバーや赤みの肉を食べること。それも一日500g程が必要。
ひじきは鉄分が少ないですし、小松菜やほうれん草は鉄分が少なすぎます。
サプリメントもいいのですが、こちらも鉄分が十分ではありません。
できれば、医師の処方による鉄剤が効果的です。ヘム鉄100mgが理想です。
特に女性や成長期の子どもには鉄が必要です。
鉄不足かどうか診断する方法
まずは1日中だるさが続くかどうか。続くようなら鉄不足も考えられます。
集中力があるかも大事です。細かい文章等を読み続けられるかどうか。
また眼の下瞼を裏返してみて、真っ赤になっていれば問題ないですが、手前側(眼の側)が白くなっていれば鉄不足の可能性があります。
その場合は病院で「フェリチン」の値を調べた方が良いでしょう。フェリチンの値が40以上、できれば100以上がれば良いのですが、20未満の場合は鉄欠乏症である可能性が高いです。
鉄は想像以上に人間にとって大切なミネラルなんです。